階段落ち    N.Y

 

11月のある日、出張で肥えた身体を元に戻そうと

自転車で京都に向かいました。

 

中性脂肪を燃やすのは、サイクリングが最適です。

1日8時間ぐらい乗っていると、体脂肪率は、

確実に下がります。

 

いつもより、出発時間が遅いので、

寄り道せず、スピードをあげました。

 

マウンテンバイクは軽快に茨木の太田にさしかかりました。

西国街道は安威川を渡るのに太田橋がかかっています。

 

この橋を渡り始めて、右手に河川敷におりる階段が見えました。

20°ぐらいの格好のスロープです。

 

これを、下らない手はないと急いでいるのも忘れて

西国街道をそれ、石段の方へ行きました。

 

私には夢があります。それは、種子島の射点直下の溜池に

通ずる30°傾斜の坂を自転車で滑降することです。

こんなこと、親方日の丸がつぶれないかぎり、許可してもらえない

と判っていますが、何とか、元気なうちにチャレンジしたいものです。

 

 

 
射点下の急坂(大きさの比較ができないので、次回、再度、写真載せます。)

 

 

最近は、急坂を見ると、血が騒ぎます。

この日も急いでいるのを忘れて、階段に引き付けられました。

 

階段の最上部にゆき、下を見下ろして

背中に背負ったバックパックを下ろそうかどうか

考えました。ここで、悪魔のささやきがあり、

 

「おまえの目指しているのは、30°の急坂ではないか

ここは、たかだか20°しかない

以前もこのくらいの坂、階段は下ったではないか

なにを、ためらっているんだ。」 と

 

車体を階段に直角にもってゆきたかったのですが、

階段上の道路は自動車の往来が激しく

思うように行きません。

 

車体が階段と平行したまま

ハンドルを切って、前輪だけ直角にして

下り始めました。

 

いつもなら、ジャックナイフ(後輪を持ち上げて)で

後輪を90°回転して、両ブレーキをかけて

尻抜き(お尻をサドルより後にもってゆき、後輪に体重をかける)

して、徐々に下るはずが、

バランスを崩して、右前方につんのめりました。

車体を右に傾け、右足を階段につきましたが、

体重が前に移動しています。

前のめりになりながら

 

「石段とはゆえ、右から一回転して受身をすれば

たいした怪我はしない。しかし、背中のバックパックには

買ったばかりの大型デジタルカメラが入っている。

ここは、回転せず、カメラに損傷を与えないように

すべり、落ちよう。」

 

普段は 「ドンくさい」 と言われている私ですが、

自分の身体が落ちかけている瞬間に、1/1000秒

ぐらいの速さで判断しました。

 

右手、右足でふんばって、なんとか、すべり落ちるのは

止りました。

 

「止った!」 と思った次の瞬間

頭上から、よりによって私の自転車が降ってきたのです。

再度,自転車もろとも2〜3段すべり落ちました。

 

東映の時代劇で使う

階段落ち

そのものです。

 

子供が自転車を押して上っているところをかけ降りようとした。

 

下から見上げると少しきつい

 

付近には、散歩中の人や、釣りをしている人がいて、

こちらを、笑いをこらえて、見ています。

誰一人、助けにくる人はいませんでした。(当然でしょう)

 

立ち上がって、始めてなにが起こったのか悟りました。

自転車をおこして、階段の下までもってゆき、

立てようとしましたが、まっすぐ立ちません。

 

階段に散乱した、帽子、サングラス、水筒を拾い集めて

左手親指が痛いのに気づきました。右足の膝も痛い。

よく見ると、ズボンの右膝部が破れて血にそまった膝が

見えています。

 

左手は、指先のないグローブから出た、

親指の指先をすりむいています。

 

グローブを取り外そうとしましたが

右手、左手ともしびれてうまく外せません。

口を使って、時間をかけて取り外しました。

 

右手はたいしたことがなさそうですが、左親指が痛く、

しびれています。みるみるうちに腫れ始め、手を下げると

劇痛が走ります。

 

「お母ちゃん〜」

と泣き叫びたい気持ちをこらえて

堤防に座ってしばらく辛抱しました。

水筒の水をかけて冷やしているうちに

何とか楽になってきました。

 

自転車は前輪とハンドルの角度が大きくずれ、

チエーンが外れています。

ブレーキレバーの位置も修正して、

走り出しました。

 

1kmほどいったところで、右膝の傷(3箇所すりむけ)

がズボンとこすれて痛く、あきらめて帰路につきました。

 

本日は、日曜で病院が休みです。

救急病院へ行くこともないだろうと、シップして休みました。

 

明くる朝、左手は、手の甲から手首まで腫上がり、

「骨折している」 と脅されて、病院に行きました。

 

レントゲンを撮ってもらって、骨に異常がないことを聞き、

一安心です。

 

両手首捻挫、左親指強打、右膝3箇所裂傷、右肩打撲

この程度ですんで、本当に幸せでした。

(デジタルカメラは無事でした。)

 

私の心の中には、

「もうこんなことやめよう」  と、 「この次は大丈夫」

複雑な気持ちです。

 

昔は、「そこに 山があるから登る。」

と、言いましたが

スパイダーマンのごとく、

禁止されても高いビルに登る人の気持ちが理解できます。

 

人生は、 「常にチャレンジ」

 

なにごとにでも(それが馬鹿なことであっても)、

興味が湧かなかったら

人間やめるしかありません。

 

今日も、 「 ワクワク ! 」

しながら、生きています。

 

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